柳生一族の陰謀(深作欣二)
柳生一族が恐ろしい陰謀を企てた話みたいな題名だけど、実際は柳生但馬守宗矩(萬屋錦之介)の
陰謀に、徳川家も朝廷も、そして柳生一族までもが翻弄されてしまうお話です。
1623年(元和9年)5月、二代将軍徳川秀忠が「食あたり」で急死。なぁんかあやしい。
秀忠の嫡男・家光(松方弘樹)は顔に大きな痣があることと吃音症であることから両親に疎まれ
悲しい思いをして大人になりました。ひどいね。
でも特にひねくれもせず、可愛がられてる弟とも不仲にならず育ったみたい。
その家光を、お父ちゃんが死んじゃったからには家光の時代なんだぜ!正式なお世継ぎだし!と
剣術指南役の但馬や松平伊豆守信綱(高橋悦史)、春日局(中原早苗)が夢中で担ぎ上げます。
あやしい超あやしい。
家光の弟・駿河大納言忠長(西郷輝彦)は、文武両道のさわやかさん。両親に愛され、
兄を押しのけることもなくすくすく育ちました。でも、土井大炊頭利勝(芦田伸介)が気がついて言うんだよ。
但馬ぜったいあやしいぜ!お父ちゃんは「食あたり」じゃなくて、但馬に殺されたんじゃないの?!って。
お母ちゃんの崇源院於江与(山田五十鈴)も、それを聞いてびっくりして騒ぎます。
可愛い可愛い忠長ちゃん!あんな家光なんて、どっかの田舎に追っ払って、
忠長ちゃんが天下をおとりなさい!
ひどい超ひどい。
こうして家光と忠長の兄弟は、周囲からガンガン突っつかれて、将軍の座を取り合いすることに。
キャスティングが素晴らしい。というか濃い。胃もたれしそうです。
他社のスターまでずらりと並び、全盛期のJAC(ジャパンアクションクラブ)のスターさん達もずらり。
キレまくりのアクションと、キレまくりの芝居合戦がみられますよ。太秦なめんなよ。
どんな方々なのか、ざっと紹介しとこうかねぇ。
但馬のせがれ、柳生十兵衛三厳は勿論、千葉真一 =
宇宙いちアイパッチが似合う男。
十兵衛の妹・柳生茜に志穂美悦子。回し蹴りはしないけどカッコイイよ。
千葉真一の実の弟・矢吹二朗も、十兵衛の弟・柳生左門友矩として出演してます。
根来衆には室田日出男、福本清三、片桐竜次、真田広之。
忠長を思う熱き家臣・別木庄左衛門に夏八木勲。
不気味おじゃるトリオに金子信雄、梅津栄、成田三樹夫。怖いでしょう!
おっかない尾張のおじちゃん(尾張大納言義直)に三船敏郎。
剣豪・小笠原玄信斎長治に丹波哲郎。
一旗あげたい浪人に曽根晴美、小林稔侍などなど、細かいところまで徹底的に濃い。
どうです、もうだいぶ胃がよじれてきましたか?
じゃあ、切なく美しいサイドストーリーの担当も紹介するね。
忠長との身分違いの恋に命をかける出雲の阿国に、可憐な大原麗子。
阿国に片想いして、どうしようもない心を笛にめちゃぶつけしてる
浪人・名護屋山三郎に原田芳雄。どうです、切ないでしょう!ちょっと濃いですか?
「かかる悪夢に惑わされてはならぬ!」
「夢だ…夢でござる…」
Σミ*
゚Д゚ミ ハッ まさかの夢オチ?!
こんなに濃い顔ぶれが揃ってて、深作ギラギラ欣二監督が撮ってるんだから
ギラギラしまくりだよね。時代劇だし。なんかむちゃくちゃすぎるけど、
昔のおはなしだもん!これでいいんだもん!
最近この映画を、母とともに久しぶりにDVDで鑑賞したんですが、
もう何度も観ている母は、開始早々、但馬の萬屋錦之介に大爆笑していました。
重厚すぎ、濃すぎ、何かにとりつかれているとしか思えない…って。そうなんだよー!
未見の方は、うなされないように注意ですよ。ゆうがたちゃんの超おすすめ映画ですが
萬屋但馬、ほんとすごいから。すごいとしか言い様がないよ。
12年ぶりの東映復帰だからって、サービスしすぎ!鼻血でちゃうよ!
でも、一番すごいのが深作ギラギラ欣二監督。大ボラふいて、開き直ってます。
観れば全部わかるよ!観てね!そして日本映画を、もっともっと好きになってね!
〜
おまけ 〜
不気味おじゃるトリオの素敵画像
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陽気なギャングが地球を回す(前田哲監督)
瞬時に他人の嘘を見抜くことができる成瀬(大沢たかお)、コンマ1秒まで正確な体内時計と
素晴らしいドライビング・テクニックを持つ雪子(鈴木京香)、動物ラブな天才スリ師の久遠(松田翔太)、
でたらめな演説で人を煙に巻く響野(佐藤浩市)の異能者(?)4人が、仲良く銀行強盗を計画し…
原作である伊坂幸太郎の痛快小説と比べて怒っている人が多いと聞きます。
怒ってしまう原因はきっと、映画を映画として観ず、原作の付録とか参考映像とか考えて、
間違い探しをしちゃうからじゃないかなぁ。
お調子者の私は、この映画の不思議な軽さに簡単に乗ってしまい、最後まで楽しめました。
腰を抜かすほど立派なフルセットの美術、インチキくささたっぷりのド派手な衣装、
佐藤浩市が初めて見せる表情の数々、映画初出演の松田翔太の思いがけない落ち着きぶり、
三池崇史監督作品でおなじみの山本英夫のわくわくするカメラワーク、心を弾ませてくれる音楽、
全ての日本映画で会える気がする大杉漣、などなど、みどころいっぱいだよ!
ビール片手に、是非どうぞ。
「ロマンはどこだ?」
〜 おまけ
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本作の完成報告記者会見の会場にて、鈴木京香から披露されたエピソードをひとつ。
"メキシコの場面"を撮る為に渡米したスタッフとキャスト達。
L.A.のメキシコ料理店でビールを注文したら、何故か佐藤浩市だけがID提示を求められ、
いくら説明してもなかなかビールを出してもらえなかったんだって!
ちなみに撮影時の浩市さんは、44歳6ヶ月。どの辺りが21歳以下に見えたんだろう…
楽しそうに話す京香ちゃんの隣に座っていた浩市さん、司会者から発言を促されて曰く
「まぁ、軽いイジメですかね」 ☆*:.。. ミ* ゚∀゚ミ .。.:*☆
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